インターネット上の仮想空間「メタバース」を通年で英語教育に導入する取り組みを中泊町が始める。仮想空間上で海外にいる「相手」を視覚的に確認し、会話に参加することで語学学習に加えて、異文化交流を促す。町によると、通年での導入は県内初めての試み。
町は来年度、町立薄市小の3~6年生の授業に試験導入する。このうち5~6年生は、独自の教育課程を編成できる文部科学省の教育課程特例校制度の指定を受けた上で、新たに設ける「グローバル科」の授業として行う。2025年度からは町内の全小中学校に導入する予定だ。事業費は年間約2500万円で児童生徒1人当たり7万円程度という。
教育プログラムは、大阪府のオンライン学習サービス会社「クラスメイト」(堺市)が提供する。同社の井坂浩章社長は、「異文化理解や交流には留学がいいが費用が高く、距離もある。メタバースは雑談も可能で、安全、安心、安価に国際交流を提供できる」と語る。
町では人口減少に歯止めがかからない。特徴的な教育の導入で、世界で活躍できる若者を育成すると同時に、将来的に町を支えてくれる人材を確保する狙いだ。8日に導入を公表した浜舘豊光町長は、「世界を相手に商売、ビジネスしていける子たちを増やしていくことで、町に素晴らしい人材が根付いてほしい」と期待をかけている。