青森県中泊町は8日、インターネット上の仮想空間「メタバース」を使い、海外の人たちと交流する英語教育を町内の全小中学校で導入すると発表した。来年1月から薄市小学校で試験導入し、2025年4月に全ての学校で開始する予定。授業数の変更を伴うため、町は薄市小を「教育課程特例校」にするよう文部科学省に申請した。町によると、年間を通じてメタバースを利用した英語学習を行うのは県内初の取り組み。
20年後の町を担うグローバル人材の育成が目的。メタバースでは、利用者がアバター(分身)を通じて現実世界のように動き回り、他の利用者と交流することができる。一般的な留学よりも費用が安く幅広い児童・生徒が学習できる。
町内の小中学校はフィリピンの学校と交流予定で、「メタバース上での留学」として、相手校の生徒らとの英会話を行うほか現地映像を通してフィリピンの生活、文化などを疑似体験する。来年1月以降、薄市小では3、4年生が週に1回の外国語活動の時間にメタバースを使った英語学習を実施。5、6年生は総合的な学習の時間の一部を振り替えて行うことにしている。
町は今後、オンライン留学サービスなどを提供している大阪府の企業「Classmate株式会社」(井坂浩章社長)と業務委託契約を締結する予定。町役場での会見で濱舘豊光町長は「この町を支えていく人がどうあるべきか考えたところ、世界を見ながら地域を見られる人という答えにたどり着いた」と話した。